29)自然宇宙の様相

此処で言う自然宇宙とは、通常、我々がイメージする物質宇宙(この世)に、この世の次元を超えた非物質的領域、所謂、あの世を、加えたものを意味している。
この世は、生命体の物理脳・感覚器官を通すことで物質が存在し、それらは、時間と空間に制限され、物理法則や化学法則の力に従って生成・変化・進化する。般若心経は、これを色即是空・空即是色と言っているのだが、コンピュータの進化した現代では、「この世は物質絡みの生命体(非物質的生命体も存在するのでこう表現する)の全感覚器官を通したバーチャル・リアリティーである」と言った方が理解され易いかも知れない。
一方、あの世は、時空に制限されない世界ではあるが、そうかと言って、決して、非物質的事象の生成・変化・進化がないということではない。時空を超越した形で(夢や空想が時空に制限されずに生起するように)、これらは存在している。この世のベース(バーチャル・リアリティーの源)に成っている部分やそれに関連している部分もあるが、現段階の人類では、想像すらできない領域がその大半である。

自然宇宙は、創造主、そのものであり、永遠の存在性をベースとする、自由意志(創造原因としての或る種の感情)と創造力(因果法則とそのエネルギー)を持った一つの生命存在である。法則・論理・概念・イメージ・記憶・感情などの源となる非物質的エネルギーは、全て、この創造主から流れ出ているのだ。

こうして生み出される自然宇宙の様相は、変化・循環・均衡・入れ子人形的階層・相似などの特徴を呈する。
変化と循環については、特に、説明する必要はないだろう。生物は、全て、個的には生老死の変化を受け、集合的には世代を超えこの変化を繰り返して循環する。四季の循環、食物・腐敗連鎖の循環、水の循環などを想起すれば、変化しながらも循環している様相はよく理解できる。
そして、この変化し循環するものは、ある時点で切り出してみれば、無数の要素(物質的、非物質的)の均衡の上に存在しているのである。自然を見ても、社会を見ても、これらは、必ず、無数の要素の均衡点に位置している。そして、この均衡点は、周辺の状況と共に、刻々と変化する。地球が太陽圏から飛び出さずに自転しながら太陽の周りを循環しているのも、複雑な方向性を持つ無数の力の均衡点に位置しているからだ。因みに、このような小変化を続けて循環を維持する均衡が崩れた場合、循環そのものを崩す大変化が訪れる。
入れ子人形的階層には、相似がセットされている。大きなものの持つ特徴が、その中にある小さなもの中に相似的に反映しているということだ。例えば、国家行政機関があり、その下の階層に、県や市などの相似的な地方行政機関がある。太陽と地球の関係・地球と月の関係、更には、陽子と電子の関係も同じことだ。警告的な意味を込めて、譬えてみれば、人間と癌細胞の関係・地球と人間の関係も同じかも知れない。癌細胞は、人間が生きていなければ存在できないのに、バランスの悪い自己増殖を繰り返して、人間を死に追いやろうとする。人間は、地球が健全でなければ生きられないのに、自然を破壊して自己増殖を繰り返し、地球を痛めている。又、相似は、入れ子人形的階層に現れるだけでなく、同一階層の中で、それぞれ独立した形で現れることも多い。例えば、鳥の羽、昆虫の羽、飛行機の翼などを想起すれば分かり易い。いずれの場合も、相似は、創造力(因果法則とそのエネルギー)の持つ普遍的な同質性から来ている。

自然宇宙の様相を、このような視点から観察することに習熟すれば、「自分は、この世で何ができるのか、何ができないのか」が、徐々に見え始める。
理解を進めるために、一つの例を挙げれば、自分に絡む事象の常勝、常負、先勝、先負の区別がつくようになってくるのだ。筆者の造語的な使い方もあるので、説明すると、「常勝は勝つこと・成就することが常に決まっていること、常負はその反対、先勝は自分から先に働き掛けなければ勝つこと・成就することができないもの、先負は待って相手からの働き掛けを受けなければ勝つこと・成就することができないもの」という意味である。人間が明日から翼を生やして鳥のように大空を飛ぼうという試みは常負であり、恋の駆け引きには先負が多い。
又、小変化は循環軌道に乗って再来することから、好事を願うなら好事をもたらす循環を見極めてそのバランスを維持すること、凶事を避けるにはどのような循環がその凶事をもたらすのかをじっくり観察してそれを破壊することである。
何か占いの話に似てきたが、考えてみれば、中国古来の占いの書である易経は自然・社会・人生の変化とその様相をベースにしている。唯物論を超えた広く深い視野から自然宇宙を観察すれば(見えないものでもあるんだよ、五感を超えた世界もあるんだよ、法則・論理・概念・イメージ・記憶・感情などは生命体の物理脳から独立して存在しているんだよ)、人類は、進化して、新しい文明ステージに上がることができるかも知れない。

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