戦争の実情

現代の戦争とは、建前としては、敵の不正義を制裁するとしてお互いが武力行使することである。だが、その実情は、国の一部支配層が、優越欲、支配欲、名誉欲、権威欲、金銭欲、物欲などを満たすことを目的として、又、相手国の人々をよく知らないことから生じる恐怖、不安、不信、憎悪、嫌悪、軽蔑などが引き起こす一般民衆の集団破壊感情が原因になって、戦争は始まるのだ。
本当の敵は相手の国民ではなく、このような感情なのだが、これを正しく理解するには感情面での進化、例えば、チンパンジー的本能からの脱却など、が必要である。戦争は、こうした感情をベースとする社会的雰囲気が出来上がると、極めて小さな小競り合いや事件から始まる。そして、一旦始まると、後戻りは難しく、拡大方向に向かうことが多い。

敵国制裁がうまくいかずに長期の耐久戦に陥ったり、逆に、敵国に攻め込まれたりすると、戦争は、その本質を露わにする。戦争の本当の敵は人間なのだ。戦争に支配された感情は、敵国の人間を思うように破壊できなければ、代わりに、自国の人間の破壊に向かう。我が国の先の大戦の実態を直視して欲しい。
お国のために負傷した下級兵士は、足手纏いとして射殺された。仲間の兵士に人間的に同情すれば、上官から体が動かなくなるまで殴られた。経験の浅い若い兵士は、訓練の手間を省くために肉弾として利用された。沖縄では、上陸したアメリカ軍が使用するのを阻止するためと称し、自国の兵隊が一般民家を焼き払った。満州では、軍人が民間人を置き去りにした。
これが、戦争の実情だ。正義も不正義も、お国のためも、あったものではない。人間に対する恐怖、不安、不信、憎悪、嫌悪、軽蔑などの感情が、理性を超えて渦巻いている。

戦争に勝つための唯一の方法は、戦争をなくすことだ。敵は何なのかを正確に見極めなければならない。敵は人間ではなく、人間の心に湧き上がる戦争に支配された感情である。この感情に勝つためには、相手国の人々が、実は、自国の人々と同根であること、親を愛し子を愛する人間であること、を理解するところまで、お互いに、知り合わなければならない。

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