二種類の老人

世の中には、二種類の老人がいる。「ご機嫌な老人」と「ご機嫌斜めの老人」である。「穏やかな秋の日差しに心を和ませる老人」と「濡れ落ち葉を実感し悲哀に暮れる老人」と言ってもよい。

前者は、世の中で競争し、協調し、数々の経験を重ねた結果、他者や外界の様々な視点や立場を感情面で理解できるように成長した。顕在領域に於いて、或いは、潜在領域に於いても、自己と他者の繋がり、自己と外界の繋がりを実感している。即ち、自我意識の拡大が生じ、他者や外界に対し、その程度や質に違いはあるとしても、何らかの一体感を持っているのである。

これに対し、後者は、世の中の厳しい競争の中で数々の経験を重ね、その結果、狭い自我意識に閉じ籠り、他者や外界を自己から分離し続けたのだ。老人になった時、他者や外界との繋がりを実感できなければ、他者に対する批判が厳しいだけの能力の低下した濡れ落ち葉になってしまう。

因みに、近年、「子供の世話になりたくない、子供に迷惑を掛けたくない」などと言う、他人行儀の歳を取った親が増えている。自分が親孝行しなかった裏返しかも知れない。しかし、これが、時間と愛情を掛けて子供を育てる余裕のない、従って、子供との一体感など生まれようのない、忙し過ぎるお金に支配された世の中を象徴しているのであれば、とても悲しい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>